2019.10.10
キャバクラで働いているとよく耳にするのが太客(ふときゃく)・細客(ほそきゃく) という単語です。
太客とは夜の世界の業界用語のひとつで、たくさん来店してくれたりたくさんお金を使ってくれる太っ腹なお客様の事を指します。
太客の対義語は細客と言って、来店頻度が少なくあまりお金を使ってくれないお客様の事を指します。
“どうしてわたしには太客ができないんだろう?”
そう悩むキャバ嬢さんもいる位、キャバ嬢さんにとって売り上げというのは常に悩みのタネです。
1人に接客して1時間で100万使ってくれるお客様がいたら精神的にも楽だと思いますよね?
その為にキャバ嬢はみんな太客が欲しいと考えます。
一度にたくさんお金を使ってくれるお客様が欲しいと考えてしまう気持ちはわかりますが、顧客に対してランク付けするやり方はリスクがあるのはご存知ですか?
太客ができないからといって焦る必要はまったくありません。
むしろ、太客を作ろうとしてしまうことで様々な問題が発生することもあります。
今回は、太客ができないと悩むキャバ嬢さんに考えて欲しい4つのことについて、書いていきたいと思います。
①太客と細客で区別をしてしまうと良くない理由
ちょっと逆の立場で考えてみて欲しいんです。
あなたが気に入ったお気に入りのレストランが、来店回数や食事の金額で接客態度を変えてきたらどう思いますか?
「月一度しかご来店がないのでトイレの近くのお席でお願いします。夜景がきれいな席はお得意様用に空けてあるんです」
「お水はセルフサービスでお願いします。お水を持ってきてほしいなら月5万円は食べに来てくださいね」
「あなたはお店の売り上げにあまり貢献していないので、お得意様よりランクの低いお肉を出しますね」
「お得意様が同じ日に予約されるようなので、その日のあなたの予約はキャンセルしますね。今月は〇曜日が暇なのでその日に来てください」
どうですか?
「なんだこのお店、もう二度と来るもんか!」という気持ちになりませんか?
でも、太客と細客でサービス内容を変えるってわかりやすくいうとこれと同じです。
身内客に贔屓して、一見のお客様を差別するようなレストランはだいたい潰れます。
キャバ嬢さんだってレストランと同じです。
そんなことをされて「俺も頑張って◯◯ちゃんにお金を使って今よりもいいサービスをしてもらおう!」と考えるようなお客様なんていません。
● 接客態度
● 連絡頻度
● サービス内容
使ってくれている金額に応じてこの3つの部分に差をつけてしまうやり方は、まず細客が定着しません。
細客が定着していない状態で、運良くフリーで派手にお金を使ってくれるお客様が見つかれば、そのお客様頼りになる事は火を見るよりも明らかです。
人はお金を使えば使うほど相手に対して見返りや要求が大きくなります。
月に100万使うようなお客様はキャバ嬢に100万円分の見返りを要求します。
その要求の中には肉体関係なんかの要求だって普通にあります。
それをはねのけるには、「このお客様が明日から急にお店に来なくてもなんとかなる」という根拠のある自信が必要です。
お客様だって足元をみているので「俺がお店に来なくなってもいいのか?」という駆け引きは普通にしてきます。
それに負けて太客からの要求を飲んでしまうようなキャバ嬢さんは、最終的に飽きられて終わります。
「お金で落ちる女」だとバレた時、太客と細客の両方を失います。
太客にに依存するリスクはそこにあります。
②思ったよりもそのお客様は太客じゃないかもしれない
LTVという単語を聞いたことはありますか?
LTVとは、Life Time Valueの略称でマーケティング用語の1つですが、これは顧客生涯価値を意味する言葉です。
キャバクラでいうと、ひとりのお客様が自分がキャバクラをやめるまでに使ってくれる合計金額の事です。
仮に5年間キャバ嬢をしたとします。
月に2回来店して平均3万円使ってくれるお客様のLTVは360万円です。
一方、月に1回来店して平均10万円使ってくれるお客様のLTVは600万円です。
月に10万円使ってくれるお客様の方が太客に見えるかもしれませんが、月に6万円使ってくれるお客様がもう一人見つかれば、LTVは720万円になります。
また、月6万円使ってくれるお客様の来店頻度が月に3回になった場合、LTVは540万円になるので月に10万円使わせるよりもハードル低く売り上げを伸ばす事ができます。
「こいつ毎回3万円しか使わないし適当でいいや」と考えるのがあまりにも愚かだという事がわかるはずです。
目先の売り上げに目が眩む前にLTVが何円になるかを考えましょう。
そうすれば「そこまで太客じゃないかも?」と冷静になれるはずです。
太客は切れやすいです。
ずっとそのペースでお店にお金を落としてもらうように仕向けるのは並大抵の努力では厳しいです。
1ヶ月100万円を使うお客様が1人いるよりも、1ヶ月20万円使うお客様を5人作った方が、指名が途切れた時のリスクを考えるなら安全です。
③他のお店では太客だった
これもよく聞く話です。
「来店回数はそこそこだけど、シャンパンを抜いてくれるわけでもないし大勢を連れてくるわけでもないから細客だな」
と認定していたお客様が実は他のお店では大金を使っている太客だった、ということはざらにあります。
このお客様の心理を簡単にいうならば
「お金はあるけどこの子には使う価値がないな。まぁ顔は悪くないし他にいい子が見つかるまで暇つぶしになればいっか」
というあなたに対してマンネリや今以上の期待値を抱けなくなったのが原因です。
こうなっては並大抵の努力や変化をしても再び興味を持ってもらうことはすぐには難しいです。
こういうお客様はあなたに飽きているし興味が他へ向いているので、あなたには目もくれずに他の席やヘルプについた女の子にいい子はいないかと目を皿のようにして探しています。
つまり自店の女の子に持っていかれて太客に変身することも十分あり得るということです。
これが新人のキャバ嬢に持っていかれたりでもしたらショックですよね。
アメリカの実業家である、デール・カーネギーはこういう言葉を遺しています。
ビジネスで成功する一番の方法は、人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、人にどれだけの事をしてあげられるかを考える事である。
この言葉を胸にもって行動すれば自然と相手にも伝わりますし、長く良い関係を続けられると思います。
その方が病みにくいですし自分の仕事に誇りを持つ事ができます。
長くキャバ嬢を続けて行きたいなら、自分の仕事に誇りを持つってめちゃめちゃ大事です。
④今よりも売り上げをあげたいキャバ嬢さんがすべき事
太客がある日いきなり現れて、大金を使ってくれるという妄想をきっぱりと捨てましょう。
もしそんなお客様が現れたとしてもそこにあなたの努力はないので、お客様が切れそうになった時に焦る事になります。
キャバ嬢さんもお客様もみんな歳をとります。
年月が経てば、それまで細かったお客様が出世をして今よりもお店で使える金額が増えたりする事は普通にあり得ます。
逆に、それまでの太かったお客様が結婚したり子供が生まれたりしてライフスタイルが変わった結果、今までのようにお金を使わなくなる事だって起きます。
今の状態のまま、変わらずにずっと働けるという事はありません。
出会いもあれば別れもあります。
お客様がお店に来てくれる間、お客様が望んでいるものがなにかを考えて提供するように頑張ってみてください。
それは太客がある日いきなり現れて大金を使ってくれるドリームを抱くよりもずっと現実的な努力です。
お客様がお金を使うのはボランティアではありません。
お金を使いたくなるキャバ嬢さんだからこそ使うんです。
先ほどのデール・カーネギーの言葉につながりますが、日頃からの自分磨きや、他のキャバ嬢さんとは一線を画したパフォーマンスが求められるのです。
新人の方はその初々しさ、中堅以上の方は新人さんが考え至らないような気づかいや思いやりなどのパフォーマンスで勝負していきましょう。
プレゼントは全員に高い物をあげなくて良い
太客と細客を区別するなという話を延々と述べましたが、贈り物に関してだけいうなら区別してもいいと思っています。
例えばバレンタインデーに単純に考えて指名になったばかりのお客様にいきなり5,000円のチョコをあげても、ただの自己満足にしかなってません。
「え、俺が一番太客なの?◯◯ちゃんってそんなに売れてないの?」と引かれる可能性もあります。
お客様がキャバ嬢からのチョコレートに求めているものはチョコの値段ではありません。
そのチョコへの物語を求めています。
注意してほしいポイントは言い方です。
キャバ「チョコみんなに配ってるからお店まで取りに来てね〜」
こんな言い方をしたらたとえそれが5000円のチョコレートであっても、0円以下の価値です。
なんの物語もありませんしわざわざ取りに行きたくもありません。
「去年はクッキーでしたよね、その時◯◯さんがチョコレートが好きだって言ってたので今年はガトーショコラにしてみたんですよ〜」
「◯◯さんの為に何度か失敗したけど、やっと成功したから持って来たんだ。お口に合うと嬉しいんだけど…」
「去年は(チョコブランド)のチョコレートだったけど、今年は〇〇さんの好きなお酒入りのチョコレートにしたよ」
といった物語をちゃんと用意しましょう。
チョコレートの金額が違っても、あげ方やシチュエーション次第で全然お客様を喜ばせることはできます。
「常に去年の自分が渡したものよりもいいものを渡す」というのは、お互いの関係のマンネリ化を防止できます。
なので、金額に差があったとしてもチョコを渡す時の価値を高める物語に手を抜いていなければお客様は離れません。
ただチョコレートをあげるという行為を目的化するのはやめましょう。
今回は、太客ができないと悩むキャバ嬢さんに考えて欲しい4つのことについてお話ししました。
太客を作って太客に頼ってノルマをこなす営業の仕方は、1人のお客様への依存度を高めます。
非常にリスキーです。
そのお客様が離れていきそうになった時にそれまでの売り上げをキープする事ができないという精神的な焦りは、余裕がなくなって細客のお客様も離れていってしまうことになりかねない為注意が必要です。
太客を作るよりも細客と向き合って手をかけて、じっくりと関係を深めて行き無理のない範囲で月に使ってくれそうな金額を増やしていくことを考えましょう。
細客を育てていけば、全てのお客様をLTVの観点からの太客にする事ができます。
太客ができないと悩むより、今いる細客の求めていることは何かを考えて月に来てくれる来店回数や支払い金額をあげる為に頑張ってみてください。
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